アルバムの感想については上に書かれている皆さんのおっしゃる通りなので、長年のLIZZYファンとしてちょっと違った意見を・・・。 THIN LIZZYにとって商業的な成功アルバムといえば「JAILBREAK」、「JOHNNY THE FOX」だし、万人うけするのは「LIVE AND DANGEROUS」。よりテクニカルなものを求める人は「THUNDER & LIGHTNING」といったところだろう。 ではこのアルバムは?と聞かれれば、ファンにとっては名盤、バンドにとっては迷走の入り口、ゲーリーにとっては通過点といったところか。 バンドとドラッグの関係はロボ時代からあったのは確かで、そこに健全なゲーリーが入ってきた。曲作りの上でドラッグはさほど問題は無いが(UFO時代のマイケル君しかり)、ツアーとなると話は別でドラッグと健全はまさに水と油。ツアー途中でゲーリーが逃走した気持ちもよくわかる。このままゲーリーともう1,2枚アルバムを作っていたら?と考えるが、それは到底無理な話なのだろう。この後バンドは正に迷走して、最後にサイクスをいれてそれなりの存在感を示しながら惜しくも解散してしまった。 このアルバム発表前のゲーリーを交えたオーストラリア・ツアーのライブビデオが発売されていたが、日本での発売時のタイトルが確かこうだった。 「GARY MOORE WITH THIN LIZZY」 正にアルバム発表後のバンド(フィル)とゲーリーの行く末を物語っているかに思えてならないのだ。
ゲイリー・ムーアが全面参加した唯一のスタジオアルバムにして最大のヒット作。 「BAD REPUTATION」と同じくトニー・ヴィスコンティとバンド自身のプロデュース。 ●アイリッシュHR畢生の名作 ムーアとフィルはSKID ROWのNew Face Old Faceを始め、初期LIZZYや互いの作品へのゲスト、ツアーのヘルプ、リミックス、ラジオ・TVセッション、ライブの飛び入り......etcetcと長年多岐に渡って共演する盟友同士。 その2人の才能が最も幸福に融合した本作は、THIN LIZZYの存在そのものさえ凌駕しかねない歴史的名盤と言えるだろう。 だが、それ故にこそ「本作がLIZZYの代表作」という意見には違和感を受けずにはいられない。 THIN LIZZYが個性を育てていった時、ついに成功の切符を手にした時、そこにムーアはいなかった。 彼抜きで確立したLIZZYサウンドに強力なムーアの個性が上塗りされている為、本来のLIZZYらしさとは違う「豪華な特別編」に聞こえてしまうのだ。 ●関連作品 シングルB面にJust The Two Of Usがある他、Waiting For An Alibiのロングバージョンが「DEDICATION」に収録されている。 また、本作のデモ・ブートレッグにはムーアの「BACK ON THE STREETS」に収録されるFanatical Fascists、Don't Believe A Word、Parisienne WalkwaysやSpanish Guitar、フィルのOde To A Black Manの別バージョン、A Night In The Life Of A Blues Singerのロングバージョンも収録されており、これらの曲が同じセッションで生まれた兄弟作であることが知られている。 この他、同デモにはRock Your Love、Cold Black Night、Hate、Blackmail、Leaving Townといった未発表曲、Are You Readyのスタジオバージョンも収録されている。 「BACK ON THE STREETS」関係ではBack On The Streetsもフィル参加曲で、Don't Believe A Word、Parisienne Walkwaysはリミックスバージョンも存在する(初回米盤)他、シングルB面曲のTrack Nine、前述とは別の「BACK ON THE STREETS」デモにTrack Ten、Road To Rainもあるが、後者3曲とLIZZYとの関係は分からない。 さらにフィルのJamaican Rumでフィル、ムーア、ダウニーが共演しており、寡聞にして録音状況は分からないが時期的に本セッションの可能性もある。
『LIVE AND DANGEROUS』発表後にブライアン・ロバートソン(Gt.)が脱退し、 代わりにゲイリー・ムーアを招き入れ、1979年にリリースされた9thアルバム。全9曲で38分の作品。 ①"Do Anything You Want To"や④"Waiting For An Alibi"、 ⑤"Sarah"・⑨"Róisín Dubh (Black Rose) A Rock Legend"等の名曲はもちろん、 ③"S & M"・⑥"Got To Give It Up"なんかもとても好きです。 メンバーの交代はありましたが、基本的にはそれまで通りの、暖かみの感じられる、グッドなHRですね。
フィル・ライノット、ゲイリー・ムーアの魂、アイルランドの蜂起の歴史を綴ったアルバム。 フィルのドラッグ問題から、ゲイリーはこのアルバムをもって脱退。後に和解し、2人は名作「Out in The fields」を発表。直後にヘロインによりフィルが死去。翌年、ゲイリーは「BLACK ROSE」に呼応するかの様な同テーマのアルバム「Wild Frontier」を発表することになる…と、どうしても一連のドラマをもって聞きたくなる。