ホールトーンスケールを大胆に導入した暴力的名作。かっちりと構成の決まった曲とぐちゃぐちゃの即興曲が絶妙な配置でちりばめられている。 豪快且つ強引な爆裂ナンバーThe Great deceiverを筆頭に、あまりの美しさにビルが演奏を挟まなかったという伝説のTrio,そしてKC史上究極のど難解カタストロフナンバーFractureと聴き所満載のアルバムです。ちなみに殆どの曲がライブ演奏というのも度肝抜かれます。
メンツ的にも、全体のコンセプトから言っても、このアルバムと前後のスタジオ作「LARKS' TONGUES IN ASPIC」「RED」は、ひとくくりに考えていいでしょうな。 ジェイミー・ミューアが脱退してしまい、奔放なリズムのバトル的な面白味は薄れてしまったが、ヴォーカルナンバーを除けば、やはり互いに襲いかかるようなインタープレイに終始するとこが魅力ですな。
これはちょっと取っ付きにくいアルバムだと思いますが、ハマればハマると思います。 ①"The Great Deceiver"と②"Lament"、それと④"The Night Watch"の後半以外は、 すべてライヴレコーディングらしいです。しかも、ほぼ全部インストです(一部ヴォーカルが入りますが)。 それらの曲と、息をのむほど美しい⑤"Trio"は分かりやすい構成ですが、他の曲はなんとも形容しがたい。 大筋の流れはあるんでしょうが、終始ジャムってるような印象です。 曲としては掴みにくいが,この緊張感が良いです。ビル・ブルフォードのドラミングが実に素晴らしい。