聞き込めば聞き込むほどに、本作の魅力に取り憑かれていきました。彼らならではの、明るく爽やかで、叙情性もあるメロディーセンスは、デビュー作にして既に八部咲き(で、次作で満開)。エイドリアンの溢れんばかりのポテンシャルが、耳をヒットしていきます。 名曲Burning Heartは、メロディー派の方には是非押さえて欲しいところ。LPの旧B面はとにかくこれマイナーキーのアップテンポの曲で占められて、圧巻。Lost In The Cityの疾走する叙情が堪らなく好きでした。ちょっと気怠いYour Love Is In Vainを、なぜオープニングに持ってきたのかは?だけど、これはなんだか、テキサスでスマッシュヒットしたんだそうですね。USチャートをちょっと見据えたアルバムでもあったんでしょうか。
オランダの至宝、エイドリアン・ヴァンデンバーグ率いる4人組HMバンドVANDENBERGが'82年に発表した1stアルバム。 VANDENBERGの最高傑作と言えば、やはり名曲中の名曲“THIS IS WAR"“WAITING FOR THE NIGHT"を収録した 2nd『HEADING FOR A STORM』で決まりだろうが、個人的に彼らの作品で一番好きなのは、このデビュー作だったりする。 上記2曲のような強力なキメ曲こそないものの、収録曲は非常に粒が揃っており、何より、ドラマティックな「泣き」を 満載したエイドリアンの華やかなGプレイに関しては、2ndアルバム以上の充実っぷりを誇っていると言っても良いのでは? アルバム前半(A面)にメロディをじっくり聴かせるタイプの楽曲が、後半(B面)にはハード・ロッキンな楽曲が並ぶ、 メリハリの効いた構成も素晴しい本作。美しいアコギが閃く③、スマッシュ・ヒットを飛ばした名バラード④を山場とした 前半の完成度も見事だが、やはり本編のクライマックスは、フックの効いたメロディがエネルギッシュに疾走する⑤、 劇的なイントロのみで一発K.O.される⑥、泣きを伴ったバート・ヒーリングのVoが映えるシャッフル・チューン⑦、 構築美に溢れたエイドリアンのGソロに悶絶させられる⑧、ヘヴィ・メタリックな疾走チューン⑨といった ハイクオリティな楽曲が連打される、アルバム後半にこそ有るんじゃないかな、と。 泣きメロ愛好家なら、聴かずには死ねない名盤の1つ。2ndアルバムと併せてどうぞ。