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解説 - FROZEN TAMORI
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1. Usher-to-the-ETHER ★★★ (2011-12-17 22:29:01)

2011年発表の1st。

…これ、最初店頭で見かけたときは「絶対メタルの熱さ(とそれに付随するある意味でのダサさ)をパロった、ブラックユーモア系のバンドで、出音的にエクストリームメタルではないだろうな…と思ってましたが、まさかブラックメタルだったとは…。いつも参考にしてるブログで取り上げられてて、慌てて買いに走りましたよ。…取り合えず在庫残ってて良かった…。

インスト明けの2曲目から、初期DISSECTIONや中期SATYRICONを髣髴とさせる、冷たくメロウなトレモロリフを多分に含んだ、ドラマティックな構成の名曲で早くも「買って良かった」とガッツポーズ。雰囲気系のキーボードや地縛霊風コーラスがまた妖しくていいんですよね。この曲、メロディ面だけでなく、構成の上手さでもそれらバンドに肉薄するレベルにあると思う。

アルバムを通して基本北欧風のメロブラを演ってますが、混沌としたメロディを伴って疾走したり、荒涼としたリフと笛系キーボードを合わせたツンドラ系ペイガンブラックを展開してみせたり、ともすれば金太郎飴になりがちなこのジャンルの中で、上手く曲を差別化出来ていると思う。メロディの良さもあって、聴いていて飽きないアルバムになっていると思います。

…と、ここまで書くと「良質なメロブラなんだろうな」と思われるかもしれませんが、実は歌詞やコンセプトがぶっ飛んでる(かつネタやユーモアを多分に含んでいる)のも大きな特徴。ゴルフメタルを名乗り「田森倶楽部」「兄は決して働かない」といった曲を演る…これで良質なメロブラを予想しろって方が酷ですよ(笑)。8曲目なんかハイクオリティなブラックが謎のコントで挟まれるという前代未聞の迷曲ですし。

ただ、ネタ自体は面白いんですが、時々ネタっぽさを強調してあざとくなってるのが惜しいんですよね…。4曲目の「お父さんだよ」の語りとか、6曲目のクリーンとか正直素人のカラオケレベル。この辺りがマジで怖気を震うような声色の語りだったり、IhsahnやSimenクラスのクリーンだったりしたら、逆にネタとしても徹底してる感じで更に良かったんですが。

取り合えずブラックメタルの音にユーモアを持ち込むのが嫌でなかったり、「音楽は作り手のリアルライフと直結してるべき」みたいな信条を持っていないのであれば、チェックする価値は十二分にある作品。まあブラックメタルのパロディといえばパロディかもしれませんが、作曲面ではパロディという枠を遥かに超えたクオリティを見せてくれてますので、気になった方は是非。



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