スイス産スラッシュメタル1992年作 前作「CHOIR OF HORRORS (1991年)」から飛躍的にクオリティアップした、MESSIAHの音楽性の完成形を思わせた作品。 ジャケがより世界観に忠実なデザインになり、額に入れて飾りたくなるほど味わい深いアートワークに変化。 なんといってもこの盤の魅力は、硬派な最適な歪みを持つギターの音像にある。派手過ぎず、過去作のような特殊なギターサウンドではなく HM路線のオーソドックスな音像となり、そのギターが奏でる構築的な個性的なリフがより引き立つ。本来このジャンルに求められる魅力が 大幅にアップした印象だ。前作までのB級感が払拭されて、このジャンルのサウンドではトップクラスの味わいがある。 しかし、過去作までにあった、狂気をも思わせる突発的にエンジンがかかるような破天荒な勢い、特有のグルーヴ感がほんの少し影を潜めた感はある。 初期のアンダーグラウンド臭や滅茶苦茶に掻き毟る毒気は、クオリティの上がった録音状態により失われた。ただ、それを代償としたとしても MESSIAHの魅力や持ち味は決して失われておらず、破天荒さの喪失・粗雑だからこその魅力が喪失したものの、音響と楽曲クオリティが それを補って余りあると感じさせる。 前作同様に描く世界観が「救世主」ぽいところが良い。また、このバンドは面白い独創的なテーマの曲を多く残すが、この盤もしかり。 Living With a Confidence(自信を持って生きる),Alzheimer's Disease(アルツハイマー病)あたりの楽曲が、このバンドらしい味わい深さがある。