今までのアルバムを例に出すなら、「Chimera」が最も近い作品でしょうか。メンバーのスキルの高さが生み出す圧倒的な暴虐性と、暴力的な衝動性だけではない、高い構築性を有した、エクストリームメタルとしてごく真っ当に超高品質な作風。前作「Ordo ad Chao」ではプリミティブを変な方向に解釈したような妙な音質が賛否あった(私は駄目でした)んですが、今作は音質もちゃんと迫力があって良いです。
後は歌詞ですが…1stでブラックメタルの原風景を植え付け、2ndでおそらく第三次世界大戦及びポストウォーのコンセプトを緻密に描き、3rdではサイコな世界観を描いてきたように思うんですが…今作のワードを拾っていくと「ケムトレイル」「アセンション」「第四種接近遭遇」「Milab (軍によるアブダクション)」等、疑似科学的なモチーフが頻出。…MAYHEMってこんなバンドだったっけ?英語に堪能でない私が言うのも説得力がないですけど、正直MAYHEMにこういうガジェットを持ち込んで欲しくなかったなぁ…。「Throne of Time」で描かれるディストピア感とかは、今ひとつシリアスさに欠けるように感じてしまう。